日本住宅が「省エネじゃない」理由を、真剣に考えてみた

2021年09月01日
ブログ

先日、面白い記事を読みました。脱炭素化が進む社会の中で、住宅・建築分野における省エネ化の遅れが致命的である。と、警鐘を鳴らしている記事でした。

脱炭素とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を減らそうという動きです。国は「2050年までに、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする」と掲げ、これをカーボンニュートラルと呼んでいます。最近のレジ袋有料化も、この運動の一環です。

今回は、先日読んだ記事を参考にしながら、脱炭素化とは別の観点から「日本の住宅分野の問題点」を考えてみようと思います。

全体を通して、こちらの記事を参考としています。

参考:どうする「住まいの脱炭素化」!これからの住宅・建築物に求められる性能とは?(株式会社メンバーズ)

日本住宅の省エネ性能は、先進諸国の中で最低レベル

3重の窓ガラス
住宅の省エネ性能で見たとき、日本は先進諸国と比べて最低レベルといわれています。具体的な一例として、日本の窓とドイツの窓を比較してみましょう。

一般的な日本住宅の窓をイメージしてみてください。ほとんどの方が、金属(アルミ)製の窓枠にガラス1枚をはめ込んだ窓を思い浮かべたはずです。

では、ドイツの窓はどうなっているのでしょうか。

まず、窓枠はアルミではなく、樹脂で作られています。アルミは熱伝導率が高く、室内に寒さを伝えやすいからです。結露も起こしやすいため、カビの温床にもなり得ます。

また、ドイツの窓ガラスは1枚ではなく、3重になっているのが一般的です。窓ガラスを3重にすることで、室内と室外の間に「2つの空気層」ができます。空気層による断熱効果は、マグボトルをイメージすればわかりやすいでしょう。

「樹脂の窓枠に3枚のガラスをはめたドイツの窓」と、「アルミの窓枠にガラスを1枚しかはめていない日本の窓」の熱伝導率には、4~5倍もの差があります。

ちなみに、ドイツ以外の先進諸国も似たようなものです。日本では最高クラスの省エネ性能の窓でも、ほかの先進諸国に持っていけば、最低基準を満たせるかすら怪しいです。

失われつつある「誠実な商い」

誠実じゃない商い
窓ひとつとっても、日本住宅の省エネ性能の低さがうかがえます。なぜ、日本の住宅性能はそんなにも低いのでしょうか。ひとつの答えとして、私は社会全体から「誠実な商い」が失われているからだと思います。

ここでいう誠実な商いとは「良いものを作って、適正価格で売ろう」という信念や、「自分の仕事がお客さんの暮らしを良くしているんだ」という誇りのある商いです。

例えば「1棟限定!1,000万円の新築住宅」という売り文句のチラシがあったとしましょう。家を安く手に入れたいと思っていた人にとって、これはチャンスです。ほかの人に買われてしまう前に、飛びつきたくなるかもしれません。

しかし、たいていの場合、本当に1,000万円で家が買えることはありません。電気や水道などの設備工事費をはじめとして、さまざまな「諸費用」がかかるからです。

もっと身近な例でいえば、コンビニのお弁当も気になります。上から見ればご飯もおかずもたくさん入っているように見えますが、容器をひっくり返してみれば、なかなかの上げ底になっていることもしばしばです。

私の知る限り、昔の日本はこうではありませんでした。多くの企業は「良いものを作れば高くても売れる」と考えていたし、「最低でも、価格に見合った価値を提供しよう。それで売れなかったら、自分たちの工夫や努力が足りなかったんだ」と、プライドを持っていました。

今の日本企業には「ちょっとズルをしてもバレない」「コストカットのために、お客さんを少し騙すのは仕方ない」という考え方があるように感じます。

もちろん、不景気の影響はあるでしょう。しかし個人的には、そんなやり方をしているから信頼を失い、業績も悪くなるのだと思います。

効率を重視しすぎるのもいかがなものか…

過度な効率化
過度な効率化も、日本住宅の省エネ性能が高くならないことの一因でしょう。

最近は「高断熱」を売りにしている住宅メーカーも多いですが、断熱性が高いだけでは省エネ住宅とはいえません。高性能な断熱材は、高い気密性とセットになって、はじめて効果を発揮するからです。

天井や壁にいくら断熱材を詰めても、家にスキマが空いていれば意味がありません。せっかく暖めた(冷した)空気は、家中の細かなスキマから逃げていってしまいます。

メーカーが高断熱を売りにするのは、断熱性は簡単に高められるからです。極端な話、良い断熱材をたくさん使うだけで、断熱性能は高くなるでしょう。

一方、気密性を高めるのには手間がかかります。電気の配線のために開けた穴、壁や天井のつなぎ目など、スキマはいたるところにあります。

スキマを少なくするには、たくさんの工夫と手間が必要です。例えば配線を室外側ではなく室内側にして、外気が入らないようにしたり。家中を丹念に調べて、細かいスキマがあればふさいでいったり…。

気密性にこだわって家づくりをすれば、どうしても時間がかかります。

効率を考えることも大切ですが、かけるべき部分に時間と手間をかけることもまた、同じように大切なことなのです。

業界と国が一丸となって取り組まなければ、省エネ性能は高まらない


日本住宅の省エネ性能の低さには、政策の遅れも影響しています。

まず、住宅の省エネ性能に関する基準は1999年に定められたものです(2021年現在)。この基準には「次世代省エネ基準」の名前がついていますが、制定されたのは20年以上も昔…。もはや「旧世代」です。

しかもこの省エネ基準は、一般住宅を建てるうえでの「義務」ではありません(中規模以上の建物では義務化されています)。2020年に義務化の流れもありましたが、「一部工務店が対応できない」として見送られています。

しかし、本当に対応できないかどうかは怪しいでしょう。現に、新築住宅の9割近くがこの基準を満たしているからです。厳しい言い方をすれば、対応できない、対応する気がない事業者は、淘汰されるしかないともいえます。

あくまで個人的意見ですが、すべての事業者が気持ちを新たにして、より良い家を建てることを。そして、自分たちに家づくりを任せてくれたお客さんを幸せにすることを、真剣に見つめ直す時なのだと思います。

参考:どうする「住まいの脱炭素化」!これからの住宅・建築物に求められる性能とは?(株式会社メンバーズ)

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